貴志祐介「青の炎」読了。

こんなにもせつない殺人者がかつていただろうか。
光と風を浴びて、17歳の少年は、海沿いの道を駆け抜ける。
愛する妹と母のために――。
氷のように冷たい殺意を抱いて。
人間の尊厳とは何か。
愛とは、正義とは、家族の絆とは…。
熱き感動を呼ぶ現代日本の『罪と罰』。
日本ミステリー史上、燦然と輝く永遠の名作、ここに誕生。

「黒い家」に続いてこれも映画化された作品。
これは今まで読んだ本の中で一番好きかもしれない…と思うぐらい良かった。
その一因として、主人公が年齢や環境的に近く、尋常じゃなく感情移入できたのが大きかったと思う。
トリックなどのミステリー部は倒叙型と言うのもあり、多少温い気もするが、その分主人公の心理描写が巧妙。
また、友人達とのやりとりや湘南の描写は爽やかで、読みやすい。
ラストも賛否両論あるだろうが、個人的には良いと思う。
と言うか、俺もあの立場ならそうする気がする(←感情移入しすぎ
後、所々に散りばめられた「檸檬」「山月記」「こころ」などの「新国語Ⅱ」の教科書からの引用も巧み。
読後の余韻が切ないけれども、そこはかとなく爽やかさがあるのも好印象。
特に高校生にお勧めしとく、と基本的に褒めちぎって終わり。


■お勧め度 10/10